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以下、転載です。


ダイレクトペイメントの考えは、とても興味深いですよ。


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障害学研究会関東部会 第53回研究会

*日時 2006年8月12日(土)午後1時30分~4時30分

*場所 東京都障害者福祉会館 2階「洋室」
(最寄り駅 地下鉄三田・JR田町駅)
地図 http://homepage2.nifty.com/pps/dd-3.html
電話 03ー3455ー6321 ファクス 03ー3454ー8166

*テーマ:「イギリスの障害学とダイレクト・ペイメント制度」
-障害者自立支援法のもつ問題検討のために-

*発表者 小川喜道(神奈川工科大学) 

*司会者 山下幸子(淑徳大学)

*会費 1500円、学生 1000円

*情報・アクセス 要約筆記、手話通訳(現在手配中)、点字レジュメがありま
す。
           
*参加自由です。事前の申し込みは不要です。

*参考図書 小川喜道「障害者の自立支援とパーソナル・アシスタンス、ダイレク
ト・ペイメント-英国障害者福祉の変革」(明石書店)

*問い合わせ先 田中恵美子 emiko-t@tim.hi-ho.ne.jp

以下、レジュメ貼付

テーマ:「イギリスの障害学とダイレクト・ペイメント制度」
-障害者自立支援法のもつ問題検討のために-

神奈川工科大学 小川喜道

 ダイレクト・ペイメントとは、ホームヘルプやレスパイト・ケアなどの費用を自治
体が直接、障害者や介助にあたる家族などに現金給付をするものであり、特に重要な
点は障害者自らが“介助者を決める”ことができることである。
 介助を必要とする人は、“自らの生活の中に深く入り込んでくる介助者”を選択の
余地なく、また気の合わない介助者であろうと招き入れざるを得ないこともある。
「専門」講習を受講したり、「専門」資格を取得した者が、その「専門性」を携えて
障害者に関わることになる。それに対して、ダイレクト・ペイメントは専門職化した
「福祉サービス」による「依存」から抜け出ようとするものである。
(1)パーソナル・アシスタンスとダイレクト・ペイメント
基本事項について手短に報告する。
(なお詳しく知りたい場合は、下記の本をご利用ください。)
○拙著「障害者の自立支援とパーソナル・アシスタンス、ダイレクト・ペイメント-
英国障害者福祉の変革」(本書は制度の事務手続きなどを詳述したものなので、読み
物としてはあまり面白くない!)
○日本の制度との関係で詳しく知りたい方は、岡部耕典氏「障害者自立支援法とケア
の自律-パーソナルアシスタンスとダイレクトペイメント」(明石書店)(拙著と似
たタイトルではあるが、岡部さんのほうが売れ行き筋!)
○イギリスの障害者運動などについて詳しく知りたい方は、田中耕一郎氏「障害者運
動と価値形成-日英の比較から」(現代書館)

(2)ダイレクト・ペイメントと障害者自立支援法の対比
 パーソナル・アシスタンスとダイレクト・ペイメントを理解する上でも、また、日
本の障害者自立支援法の問題を浮き彫りにする上でも、イギリスと日本の制度を対比
してみたい。ここを中心に論議できればと思う。
1)英国コミュニティケアと自立支援法の対比
2)日英のケアマネジメントの対比
3)代理受領とダイレクト・ペイメントの対比
これら対比表は当日配布。

(3)テーマに関連することについて自己紹介
1)10年前「障害学」に触れる
(a) 障害学との出会い
1995年7月、慣れないイギリスに渡り生活を始めてまもなく、地理学科・学部生の卒
業論文(視覚障害者の建築物環境に関するテーマ)から、ヴィク・フィンケルステイ
ン、マイク・オリバー、コリン・バーンズの3人を知り、英語の練習とばかりにその
青年に20問ほどの質問を用意して体当たり会話。考えてみれば、「障害学」は社会学
とか社会福祉学と言われる分野を超えて、環境を扱う分野など異なる領域に広がるこ
とが期待される。
(b) ヴィク・フィンケルステインが教材
 1995年10月、ロンドン大学児童保健研究所のCBR(地域に根ざしたリハビリテー
ション)コース開講の冒頭、フィンケルステインがオープン大学で使用していた資料
が配布され、障害の定義についての討論が繰り広げられる。当時、障害者団体の
ニュースレターなどにしばしば登場しており、あらためて彼の知名度の高さを知る。
2)ピーター・コーリッジの著書から学ぶ
 障害の政治学、障害の定義、エンパワメントはこの中から多くを知ることができ
た。
Peter Coleridge: Disability, Liberation, and Development, Oxford: Oxfam,
1993
(中西由起子訳「アジア・アフリカの障害者とエンパワメント」明石書店)
私には到底訳す力もないので、中西由起子氏に本書を紹介、翻訳をしてくださった。
多くの読者がアジア、中東、アフリカの障害者の生の声に触れることができ、私たち
が見失いがちな、障害を巡る問題をあらためて考えなおす機会が得られる。
3)イギリスの一地域を10年見続けてきた経験のみ
 今回お話させていただくと言っても、実は東ロンドン地域の“定点観察”をしてき
たのみで、イギリス全体を語ることはできない。ダイレクト・ペイメントについて
も、この地域で収集した資料、インタビューを中心にしている。それでも、一地域を
見続けることでイギリスの一面を知ることができたのも事実であり、その範囲で報告
をさせていただきたい。

(4)障害学からみたダイレクト・ペイメント
 イギリスで出版されている障害学の関連図書10冊程度からダイレクト・ペイメント
とその関連用語を抽出してみた。ここにその一部を示す。なお、関係者の努力で邦訳
されているものもあるので、関心を持たれた場合はそれらを参照されたい。より正確
な日本語で理解を促すと思う。
1)マイク・オリバーらの見解(Oliver, M.: The Politics of Disablement,
Macmillan Press, 1990(三島・山岸・山森・横須賀訳: 障害の政治-イギリス障害
学の原点(明石書店))、他)
・現在の諸制度は、依存を創り出す専門職基盤に立っている。
・専門職化したサービスの提供を通して創り出される依存、その依存に向けた数多く
の方策が存在している。
・専門職と利用者の関係は、それ自身依存を作り出すものである。
・非障害者の団体は、障害者が自身の生活をコントロールできないという仮説に立つ
枠組みの中で運営されている、だからこそ自らがパーソナル・アシスタントを雇用
し、その関係性を対等の位置にもっていくことの意義が出てくる。

・ジェイン・キャンベルとマイク・オリバーは、Disability Politics, Poutledge,
1996の中のインタビューで、パーソナル・アシスタントについて語っている。
「障害者自身がパーソ
ナル・アシスタンス・サービスを購入するキャッシュを、障害
者に支払う法を作ることによって自立生活を促進することになる。」
 そして、マイク・オリバーはこう語る。「英国脊損協会は障害者運動の歴史にとっ
て重要であると思う。その理由は2つある。1つは、障害者自身によって運営される
最初の単一な障害者団体であること。これは、視覚障害者協会RNIBや聴覚障害者協会
RNIDと同様である。もう1つは、サービス提供の代替モデルを発展させたことであ
る。」
「保健省はこう言った。『福祉サービスを提供することはできそうもない。あなたた
ちは専門家ではないし、訓練もされていない。アカウンタビリティ・ネットワークを
もっていない』。そこで、こう切り返した。『私たちは、自分たちでそれを行いま
す』、そして、それを実際に行った。」
 「パーソナル・アシスタンスは、私の人生を革命的に変えた。パーソナル・アシス
タンス制度は私にとって非常に重要なものである。なぜなら、私は学会に出席できる
し、宿泊することもできることになった。」
 ジェインは、「私たちは、自立生活の方針とダイレクト・ペイメントを示した。そ
れは、自立生活運動の全てのリーダーが参加した全国的な会議の結果であった。」
「パーソナル・アシスタンスは、政治的課題に膨大なエネルギーを費やす自由を私に
与えた。もし私がパーソナル・アシスタンスを持たなかったら、私は英国障害者団体
協議会BCODPの代表をすることはできなかった。BCODPに関わる重要な活動家の多くは
パーソナル・アシスタンスの利用者であるが、このことは偶然と言えるだろうか。」
2)コリン・バーンズらの見解 (Colin Barnes, et al: Exploring Disability – A
Sociological Introduction, Policy Press, 1999(杉野・松波・山下訳「ディスアビ
リティ・スタディーズ――イギリス障害学概論」明石書店))
パーソナル・アシスタンスを管理すること、自立と自律のライフスタイルを維持する
ことの重要性が語られている。法の経緯や現実の利用者などを紹介しながら、ダイレ
クト・ペイメントの制度が障害者にとって「エンパワメント」するものとみなしてい
る。そして、この制度は、障害者が自分自身の生活をサポートするシステムの発展、
自分の生活をリードすることについて発言することがしっかりとできるようにするこ
とになるとして、自らBCODPのパーソナル・アシスタントの活用法の冊子をまとめて
いる。(Barnes, C.(edt): Making Our Own Choices: Independent Living, Personal
Assistance and Disabled People, BCODP, 1992)
その表紙には、キーワードが散りばめられている。パーソナル・アシスタンスが障害
者の自己実現にとって欠かせないものであることの主張でもある。
「平等の権利」「自己コントロール」「自己決定」「解放」「アクティブな市民」
「生命の賛美」「機会均等」「エンパワメント」「尊厳」「意思決定」「自律」「自
信獲得」「ユーザー・コントロール」「チャレンジ」「自己成長」「自らの将来決
定」「ピアサポート」「危険をおかす」「自己指示」「積極的ロール・モデル」「ア
ドボカシー」「人生の方向付け」「ライフスタイルを作る」「インテグレーション」
「人生のコントロール」
3)ヴィク・フィンケルステインの存在
 フィンケルステインは、南アフリカのアパルトヘイトの抵抗運動で投獄されている
が、刑務所内で体を動かす権利を要求し、1日2回、黒人の受刑者に車椅子を押しても
らっていた。トイレ後に内庭をぐるぐる回っていたそうであるが、それを「無料の
パーソナル・ヘルパーを得た時間であった」と回顧している。このことは、英国のダ
イレクト・ペイメントの教科書的出版物の冒頭に引用されている(Leece, J. &
Bornat, J. (edt.): Developments in Direct Payments, Bristol: Policy Press,
2006)。(1968年に亡命者として南アフリカからイギリスへ。1975年に、オープン大
学でHandicapped Person in the Communityコースを担当。1990代後半に体調を崩
し、その後に退任している。)

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