オランダ大使館主催 日蘭共同教育改革シンポジウムのご案内
<共生を学ぶ場としての学校: いじめや不登校を防止し子どもの自己肯定感を育てるには─ オランダの経験に学ぶ ─>
趣旨:
日本では、いじめ、ひきこもり、不登校をはじめ、多くの子供の健全な発達が阻まれ日本では、いじめ、ひきこもり、不登校をはじめ、多くの子供の健全な発達が阻まれているという現実が近年ますます明らかになってきており、それをめぐって様々の議論が各所で熱心に行われています。現に、国際的な調査でも、日本の子供たちの幸福度や自己肯定感は、他の先進諸国に比べて著しく低いことが証明されています。他方、オランダの子供たちは、一般に幸福度や自己肯定感が国際的にもトップクラスであることが知られています。両国のこの違いは、人々の伝統的な意識・習慣の違いなどが背景にあると考えられますが、同時に、学校教育の在り方・それについての考え方が大変大きな影響を与えていることも否定できません。現代の世界はグロバリゼーションによって市場競争が激化し、異文化交流がますます活発になっています。そんな中で、日本でもオランダでも、学校は、未来の市民づくりの場として、「共生」を子供たちに教えるための大切な場
になってきています。「共生」の場を生む基礎作りとしての子供たちの自己肯定感を、日本ではどのように育んでいけばよいのでしょうか。
今回のシンポジウムでは、オランダの著名な二人の教育研究家を迎え、この分野でのオランダの学校教育の取り組みや経験を存分に語ってもらい、それをもとに、両国の関係者の積極的な意見交換の場としたいと思います。
参加費 無料
日時 2008年11月11日 14:00-18:00 13:30 開場
場所 青山学院大学 青山キャンパス14号館 ― 総研ビル12階 ― 大会議室
なお、当日のプレゼンテーションとパネルディスカッションには同時通訳がつきます。
問い合わせ オランダ大使館文化部 03-5776-5400 ― 14.00 – 16.00
プログラム―仮題 (敬称略)
1. オランダの学校制度と共生教育の取り組み ― イントロダクション
リヒテルズ直子/オランダ在住教育研究家
2. 日蘭両国の子供たちのQOL調査からの報告―臨床教育の立場から
古荘純一/青山学院大学教授
3. オランダの学校における特別支援教育とインクルージョン―その成功と問題点
- もう一度一緒に学校へ政策とリュックサック政策 -
ルック・ ステーヴェンス/ユトレヒト大学名誉教授/オランダ教育
・ 保育研究所 NIVOZ 所長
4. オランダにおけるシチズンシップ教育の現状 ― その背景と狙い
ミシャ・デ・ウィンター/ユトレヒト大学教育学部教授
5. パネルディスカッション
プレゼンテーター―全員
コメンテーター―尾木直樹/法政大学教育学部教授/教育評論家
オランダからの参加者の紹介:
ルック・ ステーヴェンス / Luc Stevens /博士 / 1941年生まれ
ユトレヒト大学名誉教授。民間シンクタンクNIVOZ(オランダ教育・保育問題研究所Nederlands instituut voor onderwijs en opvoedingszaken )の設置者・所長
。オープン・ユニヴァーシティ・ルード・デ・モーア・センター(Ruud de Moor
Centrum (RdMC) van de Open Universiteit
)教授。60年代より、主として、児童心理学・特殊教育学の分野での研究に従事。ユトレヒト大学教育学部学部長、オランダ特殊教育学会会長などを歴任。1990年代にオランダで実現された特別支援(インクルージョン)教育政策(「もう一度一緒に学校へ」政策・WSNS)において、政府諮問委員として政策決定及び実施以後の評価で主要な役割を果たす。学習困難児・行動問題児に関する、政策策定への助言、方法開発、教員養成カリキュラム開発などの分野で国内のみならず国際的にも多くの業績・研究協力の経験をもつ。「生徒がもっている力」(2002 De
kracht van leerlingen. Educare, 20,2, 24-27)
「学びの意欲」(2002、Zin in Leren. Antwerpen/Apeldoorn: Garant)「学校における学習・行動問題:臨床問題から学校の問題として」(1999、Leer- en
gedragsproblemen in school. Van een klinisch probleem naar een probleem van de school. Pedagogisch Tijdschrift, 24, 2, 163-179.
)「社会情動性の発達と行動問題」(1997共著Sociaal-emotionele ontwikkeling en gedragsproblemen.
)(2004共著. Zin in school. Amersfoort: CPS)「オランダにおける学習困難(LD)」(2001共著Learning Disabilities in the Netherlands. In D.P. Hallahan &
B.K. Keogh (Eds.), Research and Global Perspectives in Learning Disabi
lities. Mahwah, NJ:
Erlbaum.)オランダにおけるインクル-ジョン)(1997共著Inclusion in the Netherlands. From Special Schools to Integra-tion to School
Reform Thalamus, 15, 2, 38-47
)ほか、夥しい数の著書・研究論文
ミシャ・デ・ウィンター/Micha de Winter/博士/1951年生まれ
ユトレヒト大学教育学部教授。社会性発達形成問題の専門家。大学での教鞭と研究のほか、青少年ケア及び青少年政策の分野での助言・委託調査研究を行う。全国在宅ケア協会を代表し、青少年の保護者と子供のケアに関する特別講座(1989-99)1999年から2004年まで、ハーグ市民協会を代表し、青少年の社会・情動性形成の講座(1999-2004)を担当。2004年より、ユトレヒト大学附属社会性教育問題ランゲフェルト記念講座の主任教授。現在、オランダにおけるシチズンシップ教育の分野で、政策助言と教材開発で活躍中、テレビ・新聞等のマスメディア上でも影響力のある存在。主著に「仲間市民としての子どもたち:社会性形成のパースペクティブとしての青少年の社会参加」(Kinderen als Medeburgers, kinder- en jeugdparticipatie als maatschappelijk opvoedingsperspectief, Utrecht, de Tijdstroom 1995
、英語版:Children:Fellow Citizens:Participation and
commitment,Radcliff Medical Press, 1996)、「生徒の何でも見ている眼:学校
における養育・規範と価値意識について」(Het Alziend Oog van de Leerling,
impressies over opvoeding, normen en waardering op school,Amersfoort,
CPS/Trouw, 1997),
「より良い社会性形成を求めて:今日的な参加教育学のアウトライン」(Beter Maatschappelijk Opvoeden: hoofdlijnen van een eigentijdse
participatie-pedagogiek ,Assen: van Gorcum, 2000),
「養育・教育・青少年政策の普遍的な意義:民主的教育学の取り組みの必要(オランダ政府学術諮問評議会WRRのウェブ出版・共著) (Opvoeding, onderwijs en jeugdbeleid in het algemeen belang: de noodzaak van een democra
tisch-pedagogisch offensief,WRR webpublicatie nr. 1, 2004) 「民主主義に
おける教育」(共著)(Opvoeding in Democratie, SWP, 2006/met W. Koops & B.
Levering), 「文明を映し出す鏡としての子